イシスの息吹

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夏休み

今年の夏は、「受験体制に入る」と宣言した長女の言葉で 毎年行っている家族旅行はなく、暑い8月を目いっぱい味わった。 

長女と次女の塾の時間が交互にあったため、午前中は次女と 夕方には長女と買い物に出かけた。 次女は思春期に入ったばかりで 幼さが残り まだまだ私には小さな子どもだ。 食事をしていると 隣のもう40に手が届きそうな娘さんが母親のことを「お母様」と呼んでいるのを聞いて 「ちょっとおかしいんじゃない。あんな年になって。」という。 「じゃあ Rはなんて呼んでいるのよ。」 というと「私はもう今日から『お母様』と呼ばない。」という。 「じゃあなんと呼ぶのよ?」と聞くと 「ユッチーちゃんと呼ぶ。」という 顔を見ると物凄く本気で言っている。 満足そうなので、よくわからないけれど、彼女の中で問題は解決したらしい。

夕日が射し、少し日差しが和らいだ駅までの道を長女と歩いている。 いつもはクールで言葉の少ない長女もポツリポツリと話を始める。 近所の人に行きかい「こんにちは」と二人で挨拶をする。 皆一様に「大きくなったわね。」という目で娘を見ている。 こうして駅までの道を何回二人で通ったことだろう。 幼稚園に入ってすぐには 早生まれだったこともあり、途中で歩くのが嫌になり直ぐに「おんぶして」とねだっていた。 年長さんになったときには「一人で幼稚園に通う!」と宣言して、幼稚園まで電車に乗って一人で通う娘の後から刑事のように悟られないよう尾行した。 (当時はまだ、子どもに対する犯罪など起きることが考えられない最後の時代だった。)

しみじみと、娘を見上げて「もう あの頃は戻ってこない。」事を思うと胸が熱くなった。 子育てをしていると毎日をこなしていくのが精一杯で 一瞬一瞬が こんなにも儚く通り過ぎていくものだとは気づかなかった。 ぷっくりと小さかった娘の手が、私の手より逞しくなり、黙って買い物袋を持ってくれる。

ゆったりとした時間が何にもまして貴重なものだと思う 今日この頃である。

山本ユキ HP