フランスに残る神聖を巡る旅4 ラ・サント・ボーム
サン・マクシマンの街から車で40分ほど山道を登ったところに、
ラ・サント・ボームの洞窟への登り口があります。
マグダラのマリア、マリア・サロメ、マリア・ヤコベ、従者のサラ、マルタ、ラザロたちが、エルサレムから小舟で逃れてサント・マリー・ドゥ・ラメール(「海(から)の聖マリアたち」の意味)へと流れ着き、
彼女たちのうち、マリア・ヤコベとマリア・サロメの2人とこれに従うサラがにそこ残った。
(これがこの市の名の由来であるとされる(このため、市名は「海の2人の聖女マリア」などのように訳されることもあります。)
布教ののち、マグダラのマリアはラ・サント・ボームへ。
マルタはタラスコンへ赴いたとされており、それぞれの地には彼女たちにちなんだ伝説が残っています。
ラ・サント・ボームは、マグダラのマリアが晩年の30年間を過ごしたと言われる洞窟があります。
マルセイユの北西約40kmに位置し、標高1147m。
ゴツゴツした白い岩肌がむき出しになった頂上部が東西に伸び、その長さは12kmにも及びます。
山の名称ボーム(Baume)はプロヴァンス語の“baumo”に由来し、洞窟を意味しています。
5世紀に洞窟は“Santa Maria Balmae”と命名され、ローマ法王、フランス歴代の王たちが巡礼に訪れるカトリック界の三大巡礼地の1つとなりました。
樹齢数百年を越えるブナ、イチイ、カシなどの大木で覆われた森は、138ha。
木の伐採に加え、狩猟と放牧さえも当時から禁止されていました。
現在は自然保護地域として仏国立営林局が管理しています。
アウトドア派ではない私は、コンバースが最もアウトドアな靴なので、
当たり前にコンバースで行ったけれども、
もっとクッション性のあるく靴が良い。
この原生林を抜けて岩山の中腹にある洞窟に行きます。
登り始めると、人けが少なくなってきて、
聞こえるのは、自分の呼吸と足音だけ。
サントボームの森の木々に抱かれて歩いているうちに、
大きなものの体内に吸い込まれていくように錯覚し、
その神聖なるものに畏敬の念を抱かずにはいられません。