神人とユタ 9
また、沖縄の歴史は、けして安穏なものではなく、
私が知る限りでも、
時の権力者たちに搾取され続けてきました。
師匠は、同じ日本とはいえ、
いつも、「本土」と「こちら」という表現をなさいます。
先生の手を取りながらの
この「殿リシチ」までの上り坂、
階段が少し崩れています。
「先生、足下に気をつけて下さいね。」
と言うと、
「この下にね、日本軍が防空壕を作ったの。
下は空洞だったからね。
だからね、どうしてもこうして崩れてきちゃうの。
来年はもっと崩れるかもしれないね。」
と、ゆっくりと階段を上りながらサラリとおっしゃいます。
お宅にも日本軍が入り、
ご実家では、お家の人は皆、
お台所で生活なさっていたそうです。
まるで、物のように
あちこちに搾取されてきた歴史をくぐり抜けていらしたにもかかわらず、
そこには、それに対して
「当たり前に生じるであろう感情。」
が、まったく感じられません。
そして、
「山本さん、
本土でね、忘れてしまっている神さま事をね、
私があなたに伝えますよ。
あなたの手を引いていきます。
元はね、こちらも本土も同じ神さまなんですよ。」
と、惜しみなく神さまの事を教えて下さいます。