タカルポ(白馬)に乗って 22
雪はますます強くなり、
視界が悪くなります。
3時近くにようやくローマンタンに到着。
灰色の陰鬱な雰囲気。
バスを降りるも寒くて暗くて、
こんな青空はどこにもありません。
バス停の目の前の悲しい建物に入るビルさんとニマさん。
「ここに泊まるの?」
だって、こんなに寒いのに、ドアが西部劇のドアです。。。
「あの〜、良いところに泊まりましょう!」
と、元気に提案すると、
ビルさんは悲しい後ろ姿で雪の中に消えていきました。
ビルさんを待つ、私とニマさん。
ニマさんが村人に話を聞くと、
他の宿も五十歩百歩。
「ここで良いと思います。」
と、仰り、ビルさんも、
他のところも殆ど閉まっていて空きがないとの事。
「さぁ、どうぞ。」
とお部屋に入れてもらいましたが、
空きが一部屋しかなく、移動。
大雪で極寒、道路はグチャグチャの中、
重い荷物を抱えて歩いてくれるニマさん。
申し訳ないです。
ようやく着いた宿。
ストーブは食堂のみ。
ストーブの周りに張り付く私たち。
フードを取る事も出来ません。
中学生くらいの女の子が火を入れてくれます。
燃料は様々な動物の糞。
それを迷う事なく手で入れていきいます。
順応しようと私の頭の中の固定観念が
かたかたと音を立てて入れ替えられていきます。
あまりの寒さに、ラム酒を飲もうという事になり、
グラスをお願いすると、
その手で丁寧に拭ったグラスを出してくれます。
アルコール度の高いお酒が消毒してくれる事に感謝して、
何事もなきように願い頂きます。
本当に本当に寒くて、
お部屋に案内されると、外と同じ気温。
お手洗いは、皆で共用。
扉は上手く閉まりません。
勿論水は出なくて、バケツにある茶色い水を流すように言われます。
すぐに食堂に戻り、
「私このストーブの横で寝たい。」
「隣の部屋を覗いたらお手洗いがついているのだけれども・・」
とか、文句ばかりの私。
追い討ちをかけるように、
「明日から3日間、ずっと大雪です。」
とビルさん。
しかし、あのバスに乗ってすぐに帰る元気もない私。
私は、この長い長い一日、
滴るようなネガティブなエネルギーでいっぱいになっています。