Jack 錬金術と精油
スパイクナードというマニアックなオイルを
なぜ初心者の私が選んだのか、
「謎」です。
しかし、十数年経った今でも
このオイルはさらに熟成を続けています。
確かFAXで注文したのか、注文のFAX用紙の記憶があります。
そしてどうしても、精油の香りを直接味わいたくて、
子どもたちがまだ小さかった頃、
マウイでFAXの住所をたよりに、
「このオイルを売っているところを知りませんか?」
とあてなく町を渡り歩いた事もあります。
ジャックは私の中で
「伝説の人」
になっていました。
昨年、マウイに住む香織さんが
ジャックのワークショップを開く事を知ったのですが、
ちょうどクラスと重なり伺えず、
今年の夏、「駄目だろうなぁ。」
と、思いつつも香織さんに、
「ジャックのワークショップを、またやりませんか〜?」
と、ご連絡さし上げたところ、
開催していただける事になったのです。
自らが蒸留をすることはなかったかもしれません。
もしも、量産されている精油が最初の一本だったら、
精油の物質的な領域の理解にとどまっていたでしょう。
ジャックのオイルは、
物質を超えて、心と魂を揺さぶり、
私の人生の変容を助けてくれる精油だったのです。
自分で蒸留を始めると、
ますます、追求したくなります。
こんなに多層に及ぶ周波数を可能にするオイルは、
どんな風に生み出されるのか、
ゼッタイに見てみたい!
と、願ったのです。
「何に効くのか」
「成分は」
「有効なブレンドは」
などというレベルではありません。
香りを味わうだけで、
魂を揺さぶるエネルギーを持つ精油なのです。
以前、クラスで
私の宝物であるジャックのローズを
皆に味わってもらった事があります。
それぞれが、まだ気づいていない周波数の領域に、
サッと移行していく様は、圧巻でした。
そして、
ジャックの蒸留所へ。
美しいフォルム。
すべてがアートなのです。
タンジェリンを輪切りにしてそのまま蒸留しているのを見て、
(自分が柑橘類を蒸留するときに)
皮だけで蒸留していたので、
「私は皮だけで蒸留していました。」
と、申し上げると、
「確かに、皮の中にオイルは入っている。
でもね、僕は成分を取り出しているのではなく、
植物の魂を取り出しているんだよ。」
うーん!
深すぎる言葉に目頭が熱くなる私。
「見てごらん、この蒸留器を丸いだろう?
これは地球なんだ。
そうデザインしたんだ。
水蒸気蒸留は、植物に圧力をかける。
蒸留する植物たちに地球以上の圧力をかけると、
植物の持つ生命エネルギーを破壊してしまうんだ。
ハイドロ蒸留では、水の中にすべての生命の要素が入り、
太陽の光が当たり、
蒸気になる。
そこには、すべての命を運ぶ粒子が入っている。
地球だってそうだろう?
太陽が地球の水をあたためて、
水蒸気があがる、
そして、風に吹かれて冷たい空気にあたり、
地球のエッセンスである雨になる。
そして、また大地へと還っていく。
水蒸気はエッセンスであり、生命力なんだ。
蒸留の芸術は、地球の芸術でもあるんだ。
ただ、自然を学び、その一部をいただくのではなく、
人間が息を吹き込む事により、芸術になるんだよ。」
あぁ〜!
だからこそ、あの精油が生み出されたのですね(涙)
その後、
ジャックのデザインした蒸留器についてのレクチャーが続きました。
本当に錬金術なのです。
ジャックは蒸留が始まると、
片時もそこを離れず、
ガラスの丸い蒸留器の中で植物のリズムが途絶えないよう、
細心の注意を払って温度や圧力を調整します。
そして、
ジャックは水(イアオ渓谷のもの)
と植物とのやり取りの芸術を知り尽くしているのです。
だからこそ、
フラワーエッセンス的な役割をも果たすオイルになるのでしょう。
誰に教わったわけでも、
本で学んだわけでもなく、
自然と語り合いながら試行錯誤のなか、
作り上げられたジャックの蒸留システムは、
まさに「神聖」の宿るシステムなのです。
そしてまた、
「蒸留をするものが、自らの中を蒸留せずして、
なぜ、植物が心を開いてくれようか。」
と、いう言葉を教えてくれました。
これは、インドのとある蒸留家の言葉だそうです。
火の要素は、人間のパッションであり変容のためのエネルギーになる。
私たちの中でも、精油と同じように、
変容の熱により、私たちの中の水が蒸留されていく、
水蒸気が冷やされる事により、エッセンスに変わるように、
私たちは自らの鎧を変容させ、
エッセンスに近づいていく。
ここまでの道のりは、
そう、 まっすぐに続いていたのです。