永遠の幻想
YEメソッド概要 [E:heart04]
みなさま、ごきげんよう。
帰国し熊本の地震のニュースを知りました。
未だおさまる事なく続く地震、
心身共に大変な思いをされていると思います。
心からお見舞い申し上げます。
昨年も帰国早々ネパールの地震があり、
私たちが当たり前と思う日々は当たり前ではないということを改めて思います。
たくさんの支援する場所がありますが、
こちらの設計事務所の方は、
世界中の災害の度に所員の方を現地に年単位で送り出し、
その土地にあった居住環境の支援をなさっています。
ネパールでも、昔ながらの石やレンガに木材を組み合わせる事で、
無駄なく土地になじむ設計を現地で提供なさっています。
支援させていただいた方が実際に形にしてくださる様子は感動します。
東日本大震災の被災地でも、
まだ仮設住宅にお住まいでお困りの方々がいらっしゃり、
祥子ちゃんを中心にケアを行っています。
九州の方も、タイミングに合った支援をしていきたいです。
さて、私たちは「今の状態は永遠に続かず今しかない」
という事を改めて認識しなければならないように思います。
人間は、
「今が永遠に続くように」
と、文明を発達させてきたように思います。
長く住める家を造り、
先々を考えて貯蓄し、
永遠に電気を供給する施設を作り、
永遠に水を供給してくれる施設を作り、
食料を貯蔵し等々・・・
病気にならないように清潔に消毒、
永遠に腐らないおにぎり、
腐らないように薬剤を入れた水、
永遠の若さ!
(永遠の命が欲しくて作り上げたミイラは
何千年経ってもミイラのまま博物館に横たわります)
しかし、今回の地震の今後の予測がつかないように、
大いなる自然を前に、
人間の作り出した「永遠に続いてほしいもの」は、
あっけなく崩れさっていきます。
ネパールの山間部に行かせていただくと、
自然と共存した暮らしが未だにあります。
当初、
「もっと便利な暮らしを提供できないものか」
と、思っていましたが、
そこには不便ならではの「美」があるのです。
冷蔵庫がないなら、つくり置きはしません。
いつも一から作り上げたお料理をつくり、頂きます。
その過程にも味にも「美」があります。
洗濯機がないから、川の水で選択し、
それをとげのある木の上に干します。
物干に干すのではなく木の枝に引っ掛ける色合いの「美」
ローマンタンでは数千年前の建物が風化したままになっていますが、
土地の素材を使って作り上げたそれは、
数千年経っても「美」を感じます。
しかし、そこにそぐわないものがあります。
外国から持ち込まれたプラスティックや缶です。
これは永遠にその土地の「美」と馴染む事なく違和感を放つでしょう。
土地の人は再生が当たり前の生活をなさっています。
でも、捨てられたプラスティックは「永遠に」再生しません。
今の東京でその生活をする事は不可能でしょう。
粉からご飯を作るのには数時間を要するし、
手で洗濯をするのにも数時間を要します。
一日の大半を家事で費やすなんて。
でも、それが当たり前だった時代もあったし、
もしかするとこれから訪れるかもしれないのです。
どちらが優れているわけでもなく、
「あたりまえ」
「永遠に続く」
という概念は、
人間が作り上げた幻想なのかもしれない。
と思うのです。
だれでも、造花よりも散っていく花に「美」を感じます。
わたしたちは、本当は気づいているのです。
「美」
とは何なのか。
私たちは、
「地球という生命体」
の上に住まわせてもらっています。
そして、
地球も永遠ではないから「美」なのです。