イシスの息吹

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ヒマラヤと茶の本 9 幸福と空間認識 

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暗くなった頃、

ラマさんが戻ってきました。

「鳥葬があったんだよ」

とサラリ。

未だこの地でも鳥葬をしていることに驚きました。

「鳥葬って、どんな人がするのですか?」

と質問すると、

「生まれた時(日時)に埋葬法が決まる」

そうです。

小さなおばあさんを13人のラマさんでお見送りしたそうです。

解体するのはご専門の方がいらっしゃる様ですので、

ラマさん方はその間お経を唱え続ける。

一抱えもある大きさのハゲワシたちがすぐにやってきて綺麗にしてくれるそうです。

(脳はどの様にあげるかはちょっと生々しいので割愛します)

 

こんな話も、

漆黒の闇の中に

パチパチと燃えているガリゴンパのストーブの前で聞いていると、

何故だか日常の出来事の様にも思えてくるのが

不思議だなぁ と思います。

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到着した日は、

下から持ってきた野菜が豊富なので、

ちょっと贅沢なダルバートをいただきます。

こんな日は、ラマさんたちのお料理にも力が入っている様に感じます。

今回は、マノチママが持たせてくれたダウラギリで取れたキノコが入っています。

キノコが苦手な私でもイケるちょっとお肉の様な味わい。

思わずお代わりしてしまいます。

これから日を追うごとに、地味なダルバートになっていきます。

半年前からすっかり痩せてしまったビルさんは、

見る度に食べる量が減っています。

相変わらずガリゴンパでも具合が悪そうです。

足のしびれと熱感、そして咳です。

一番辛いのが暇な時間だそうです。

この素晴らしいエネルギーの中ゴンパでの瞑想をお勧めしますが、

怖くて30分も座っていられないそうです。

なんと勿体無いことでしょう!

 

私は、7時半には歯を磨いて経典部屋に引き上げます。

おそらく「中国が引いてくれた」であろう電気が夜になると急に稼働し始め、

22時まで使えるので、

本が読めます。

この静まり返った空間で読む本は、

日本では集中力が続かなくて読めなかったもの。

こちらではジンワリと言葉が染み入ってきます。

だから、ヒマラヤの荷物で一番重いのはkindleに半分くらい入っていたとしても、まだ重い紙の本です。

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電気が消えると例の音が真っ暗な中、ネズミの気配。

こんな時に

とダウンロードしてきた「猫の喉ゴロゴロ音」を鳴らすと、

その音も止み、

1日目は無事終了。

テクノロジーは素晴らしい!

ゴロゴロ音を聞きながら星空を見上げ

またまた

「私は何故ここで満点の星空を見上げているのだろう」

と引いていくひと筋の糸の様な意識の中で考えるのでした。

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次回の医療従事者クラスは 3月9日12:00〜を予定しています

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みなさま、ごきげんよう

次回の医療従事者クラスは、

3月9日12時〜

です。

場所が変わりますので、

日にちが近くなりましたら、

お申込みいただいた方にご連絡いたします。

動ける服装でお越しください。

(足袋ソックスご持参ください)

ヒマラヤと茶の本 8 幸福と空間認識 

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ゴンパの入り口のすぐ横には小部屋があり、

中には観たこともないような不思議な像がいくつかおいてありますが、

カターが山ほどかけてあるので全貌はわかりません。

しかし、そこは何らかのエネルギーを発しているのです。

まだ、私にはそれが明かされていません。

 

そして、iphoneライトで足元を照らしながら、

突き当たりの観音開きの扉をギギーッと開けると、

正面にパドマサンババがいらっしゃいます。

 

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ゴンパの中は基本真っ暗。

ソーラーライティングでパドマサンババとメンダレワとイシソギャルだけは、

漆黒の中浮かび上がり、

そこに一人でいることを怖がる人は、まぁ・・いるでしょう。

しかし、始めてきた時には土足で入る方々が多かったので、

埃が積もった床はコールタール化し、

歩くだけでねっとり感が伝わってきましたが、

私が滞在させていただくようになった頃には、

「土足厳禁」

という張り紙が各国語で表記され、

お掃除もしてくださり、ねっとり感はなくなりました。

私は真っ白なスリッパを持参していますが・・・

 

中はとにかく寒いのですが、

ラマさんが私が座るためにマットと毛布を2枚ご用意くださっているので、

その中に包まって座ります。

もちろんダウン2枚重ねで5枚構成という服装はこの地を出るまで決して変えません。

 

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そこに座るとふと我に返る瞬間があり、

「私はどうしてここにいるのだろう?」

と思うのです。

 

思えば、5年前。

与那国島の人里離れた別荘に一人で泊まることになり、

夜中に連れて行かれたアストラルトリップ。

その最後に、

「次はここに行きなさい」

と見せられたのが、白い雪山。

マチャプチャレでした。

インドア派の私がその2ヶ月後にヒマラヤへと一人旅立ち、

マチャプチャレを玄関とするアッパームスタンへと導かれ、

何回も通い詰め、

数年経った今、「そこは現実にある場所なのだろうか?」

と思っていたガリゴンパに定期的に滞在させていただいているのです。

日本からガリゴンパまでは、距離的にも時間的にも体力的にも

相当なエネルギーを必要としますので、

この現実とは思えないくらい日常と違う空間に

やはり何回来ても、

「私はどうしてここにいるのだろう?」

と思わざるを得ないのです。

 

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ヒマラヤと茶の本 7 幸福と空間認識 

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メンバーが山を降り、

ここからアッパームスタンに向かいます。

タサンのアルジュンさんには、

「またアッパームスタンに行くの?」

とやや呆れられます。

一度でも行ったことのある人は、

アッパームスタンが相当に厳しい場所だと知っているからです。

 

先人たちがお茶を霊薬や妙薬として用い、

南朝の詩人が「翡翠の液体から生まれた泡」と称えたように、

私にとっては特別なエッセンスを得るための場所であり、

そのエッセンスを得るためのプロセスは、

日常から続いているのです。

 

アッパームスタンへの道路は、

毎回通る度に改良され(中国サポートにより)ています。

ここ最近ではビルさんの「中国が作ってくれた」

という言葉の回数はますます増して、

少々辟易してしまうほどです。

 

電気の通っていなかったところに電気が通り、

歩いてしか辿り着けなかったところに道路が通るのは、

住人の方々にとっては夢のような便利さであり、

お気持ちよくわかります。

不便だからこそ残っていた太古のエッセンスが失われていくことを

嘆きたくなるのは、

全くもって私の問題です。

しかし、その裏にどんな政治的な策が巡らされているのか知るのは、

すでに取り返しがつかなくなった後

ということは何処でも同じです。

 

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8時間のドライブでガリゴンパに到着。

ストーブのあるお部屋に上っていくと弟さんが変わらぬ笑顔で迎えてくださいます。

いつもの経典部屋に荷物を運ぶと、

前回居なくなったはずのネズミの気配!

何ということでしょう・・

「ネコは?」

と聞くと、

村の犬に目をやられてしまったそうです。

目のせいなのか、ネズミがネコに慣れてしまったのか、

とにかくネズミは経典部屋に戻っていました・・・

途端にブルーになる私。

 

早速ゴンパに入り、

独特の空気感を全身で味わいます。

 

 

 

11月のエネルギーの学校

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11月のエネルギーの学校は、

「肉体は器であり、自分と思っている意識を切り離していく」

ことをさらに進めて行きました。

 

・ 幼少期に間違ってプログラミングされたコードを探し、

  正しいコードのプログラミングをする。

・ ペアワーク

  相手のエネルギーと自分のエネルギーを入れ替え、

  相手の視点で人生のプログラムを再検討する。

・ 身体から意識を抜き、自分の身体をホールドする

・ 「光の手」の中で、アストラルラインで書かれた文章と

  ヴィンテージラインで書かれた文章の違いのエネルギーを味わう。

・ 自分のチャクラのチェックをして、周波数調整

・ 少しヒマラヤの話

・ 「地に足をつけ直す」

  足の内くるぶしの漏れを意識してお稽古することによって

  どんな変化が生まれるか検証

 

宿題は、

足の内くるぶしの検証

体から意識を抜いて自分の身体をホールドする練習

 

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ヒマラヤと茶の本 6 幸福と空間認識 

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タサン滞在3日目にしてマノチ産のお家に。

同行メンバーとマノチママとマノチブラザーの3人のヒーリングをします。

 

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ママさんは胆嚢の調子が良くないということなのですが、

色を流せばピタリと言い当て、臓器を扱えば

「その部分が脈動して喉から何かが出て行ったよ」

と実況中継。

素晴らしい感覚をお持ちです。

しかし、油物を控えるようにと以前から言っているのですが、

(バター茶、羊、は勿論。コーラのグラスの縁にまでバターをつける。

↑その飲み口からコーラを味わったことがないので味はわかりません)

「油を取らなきゃ動けないよ」

との事。

チベットではそう信じられているのでしょう。。。

 

相変わらずマノチ家のご飯はスパイスが効いていて美味しかったです。

ここで一番好きなのはトマトのアチャール

年代物の石臼でトマトやスパイスをゴリゴリと混ぜ合わせ出来立てをいただきます。

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ダルバートは、というか こちらでは、

ご飯を炊くのも、ダルスープを作るのも、

ジャガイモのアチャールや高菜の炒め物もチキンカレーも全て作り置きなしで

一から作ってくださいますから、

キッチンから響いてくる音を聞きながら、

長閑なナウリコットの午後をゆっくりと味わうことができるのです。

でも、勿論暖房なしの土間ですので深々と足元から冷えて来ます。

こんな時にお稽古で教わったステップ(と言ってはいけないだろうなぁ)

をすると、

どうしてもエネルギー漏れがちな足の内踝にラインが入り、

一足ごとに埋まってくる感じがします。

それが楽しくて時間はあっという間に過ぎて行きました。

面白い発見です。

 

翌日、同行メンバーは早朝に車にてポカラへと経ち、

標高が低くなったら高山病から回復したとの事です。

そう、高山病は高度を下げればあっという間になおります。

「でも、降りずに頑張りたい」

わかります。

でも、頑張り過ぎると命にも関わりますので、

注意しましょう。

 

私も明日のアッパームスタンに向けて、

ジョムソンに向かいます。

脳梗塞を治しちゃうラマさんが来ているらしい」

との噂を聞いて、

「習いたい!」

と調べてもらってお目にかかる手はずを整えてもらい、

(この辺りは人間関係が全て!と言っていいほど、

何をするにもご紹介がないと扉が開きません)

ホテルの部屋を覗くと、

そこにいらしたのは、なんとクンドル・リンポチェ。

数年前にルブラから車にお乗せした人気のリンポチェです。

あれはミラクルな出会いでした!

脳梗塞を治しちゃうラマさんがいると聞いて来たのですが」

と申し上げると、

「ヒーリングだったらあなたの方が良いよ。

私は占い」

との事。

お部屋には、昨年マノチさんのお家に古いボン教経典の調査にいらしていた

メンリ僧院からいらしていた先生もいらして、

脳梗塞のラマさんは見つかりませんでしたが、

嬉しい再会でした。

5年目になるとジョムソンの街でも挨拶を買わせる程度の知り合いが増え、

一瞬我に帰ると、

「私は誰?」

状態になってしまうのでした。

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皆様からのお気持ちの中から、

ヒマラヤンチルドレンズホームに500ドル寄付させていただきました。

 

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ヒマラヤと茶の本 5 幸福と空間認識 

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ナウリコットに着けば、

前も後ろもダウラギリとニルギリ。

ヒマラヤというお椀の中に浸っている感じです。

 

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どんな言葉でもその状態を明確に顕すことは出来ないでしょう。

ヒマラヤでは様々なマニアックな場所に行きますが、

この場所の景観は他に類を見ません。

 

今回は、同行したメンバーが酷い高山病になったため、

贅沢にも全く何もせずこのエネルギーを味わいます。

 

朝7時に朝日が差し込むテーブルで朝ごはんを食べながら、

「今日は飛んだね(飛行機)」

といつもの会話から1日を始めます。

ここでは、

現在1社しか飛んでいないプロペラ機が6時半に頭上を通過するかどうかの確認が、

とても大切な朝の行事なのです。

飛ばないとなると、車での移動など様々な手配が必要になるからです。

インドから吹き上げてくる風の中プロペラ機はまるで木の葉のようです。

 

さて、朝ごはんを食べ終わると

部屋に帰り少々寒いですが窓を開け放って世界一美味しい空気(ユキ主観)

を味わいながら本を読み始めます。

 

4、5冊同時進行です。

(年々集中が続かなくなっているので、集中が切れると本を替えながらの乱読)

様々なジャンルの本を選んできたので、

本のエネルギーのよって身体のあらゆる部分の活性具合の変化も楽しめます。

座っていることに疲れると屋上に出て全身でダウラギリを味わいます。

そうしているうちに昼になりランチ。

「今日は何機飛んだね(飛行機)」

サラティをすすりながら、いつもの会話。

そして、また午後の読書。

夕方になるとニルギリはサーモンピンクのお城のように見えます。

このマジカルなニルギリの姿を見られるのは

今ではおそらくこの時期だけなのではないかと思われます。

 

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何もしない2日間。

これは本当に素敵な時間でした。

3日目、少し山を歩きます。

ダウラギリから流れてくる水の音が心地よく山に響きます。

 

 

 

 自分の呼吸が、目視できる景色の端まで、

いえそれよりももっと広いところまでつながっているように感じるほど、

冴え冴えとした空間が広がります。

ダウラギリ、

ニルギリ、

川の流れ、

針葉樹、

馬や牛、

空、

圧倒的な存在たちとのやり取りに

時を忘れてその場に立ち尽くしてしまいます。

そして、総和としての空間位意識を向けると、

ここでもまた宇宙空間を感じるのです。

 

これは、先に書いたお茶のお稽古で味わう宇宙空間を思い出すものでした。

 

 

 

 

ヒマラヤと茶の本 4 幸福と空間認識 

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本来であれば、

ただその空間を味わうという行程において

意識の段階的な変容が起きることが望ましいのですが、

より確実に移行を進めるため

途中でシロダーラを受けます。

 

今回は、2日に渡ってアーユルベーダのトリートメントを受けました。

1日目は、

全身マッサージとシロダーラ。

暖かいオイルを額へゆっくりと垂らし続ける背術です。

オイルの暖かさが右に左にゆっくりと移動し始めると

だんだんと意識状態が変容してきます。

終了後暫くして声をかけられても骨抜き状態で起き上がりたくない感じです。

これだけでも全く意識状態が変わります。

 

2日目はさらに、

ヘッドマッサージ

頭のてっぺんからつま先までのマッサージ

フェイシャルマッサージ

薬草蒸し

シンギングボウルを使ったチャクラ浄化

シロダーラ

という昼食(美味しくはないが健康的)を挟んだ1日コースです。

昼食の際には、すでに会話できない状態。

(頭が働かずお愛想会話ができない)

シンギングボウルのトリートメントは、

チャクラに土手を作りその中に暖かいオイルを流し込みながら、

身体の各部位に配置されたシンギングボウルの響きに身を委ねるのですが、

これはどのチャクラを扱うかによっても

その状態は変わってきます。

私は太陽神経叢から始まりました。

(1日一つのチャクラ)

意識はどこかへお散歩に出てしまう感じです。

これだけでも凄いのに、さらにシロダーラが待っています。

終わる頃には、

自分がどこにいるのか?

という状態になりました。

(人によって差異はありますが)

自分の境界線が広がり溶けてしまうような体感。

およそ文明生活の中では使わないような脳の状態を思い出し、

この空間認識の状態で

ジョムソンへと向かうのです。

 

20分のフライトで降り立ったジョムソンは、

別世界です。

周波数がぐっと高くなり、

ヒマラヤが目の前に聳えます。

何十年も時が遡ったような場所に身を委ねて行きます。

 

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これはカトマンズのアーユルベーダセンターの薬草たち

 
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ヒマラヤと茶の本 3 幸福と空間認識 

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こうして、

私たちが存在する場自体を空間として捉えていく事。

それは日常生活の中ではなかなか難しいかもしれませんが、

日常を離れた場所へと進む時、

それを感じ取ることのできる機会となるように思います。

日本からダウラギリまで移動するまでに変化する空間は、

すでに様々な周波数を順に通り抜けているのです。

日常の場から空港へ、そして機上の世界へ。

降りる場所は日常ではない異文化であり、

またその異文化の中にも違った周波数が現れてくる。

この全体がすでにヒマラヤへの旅であり、

段階を踏むことによってさらにその旅は物理的のみならず、

エネルギー的な旅にもなり得るのです。

何故なら、その場その場の周波数に身を委ねられることなしに、

地球有数の高周波数の世界に身を委ねることは難しいからです。

これは徐々に自分をカラにしていく事に他なりません。

 

20年ほど前、

父の付き合いで

まだ就学前の長女と3人でお茶のお稽古に通う事になりました。

先生のお宅の前までは3人で日常の会話を楽しみながら向かいますが、

スッキリと掃き清められた門の前に立つと、

小さかった長女ですらそこに日常とは違った空間を感じるらしく、

一呼吸し身を整えて門をくぐっていました。

手入れされたお庭の味わい、

床の間までの数歩の空間であじわうピンと張った空気感の中で聞こえてくる

様々な音は、

おそらく日常生活の中ではかき消されてしまうような微細な音です。

畳の上を音を立てないように進む音。

庭にやって来る小鳥たちの羽の音。

お釜から生まれるお湯の音。

その微細な音の中に身を置いていると、

まるで宇宙の音を聞いているかのような心地になったものです。

90歳近かった先生が長女に向けてくださる優しいご指導の言葉の響きは、

その空間の中の彩りとして今でも心に残っています。

 

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ヒマラヤと茶の本2 幸福と空間認識 

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日本から直行便がないので、

トランスファーの空港で数時間を経てカトマンズに降り立ちます。

初めて来たときには、

ここまででも結構なカルチャーショック。

この空港は何故こんなに暗いのだろう?

なぜ、記入用紙が散らばっているのだろう?

何故便座が濡れているのだろう?

どうしてすべてのものが砂埃でザラザラしているのだろう?

空港の外に出れば出たで、さらにすごい砂埃。

電線は何本あるのか分からず絡み合い垂れ下がり、

走っている車はすべて廃車したものですか?

という感じ。

やっとホテルに着いて、

砂埃を落とそうとお風呂にお湯を貯めると5つ星でも茶色いお湯。

翌日ポカラ行きの国内線に向かうと、

天井を猿が行き交い隙あらば食べ物を奪おうと待ち構えています。

(今は新しくなって猿は入って来ません)

五年前のことですが、当時は電気も時間制限があったので、

すぐ停電です。

(この5年での発展具合は目を見張るものがあります)

 

 

ポカラで一泊してジョムソンへ。

ジョムソンはヒマラヤの玄関口。

ここまで来ないと、ヒマラヤの空気感は味わえません。

標高も900メートル地点から一気に2700メートルまで上がるので、

ここでお具合の悪くなる方もいらっしゃいます。

暖かいポカラからキリッとしたジョムソンまでは、

飛行機ならば20分です。

初めての方は車での移動(何もなければ7時間)の方が優しいかもしれません。

今回は、飛行機の揺れが酷く、

少々落ちることも覚悟したほどです。

(こちらは良く落ちます)

 

そして、ジョムソンから1時間半のガタガタ位置を移動して、

ダウラギリの待つタサンに向かいます。

 

何も考えなければ、

「なんと長い距離を移動しなければならないのだろう」

との認識になってしまいますが、

この行程こそが、

日常生活から離れて、

「待合から茶室へと続く小道である露地を進む」段階なのです。

 

日常から離れていく。

それはまるで非日常の泉の中に足をそっと浸し

その温度や透明度、肌にまとわりつく水の濃度などを味わうことによって

感覚を研ぎ澄ませていくような感じです。

ヒマラヤという異空間での体験を存分に味わえるように備えるための時間です。

ですから、ここまでの長い行程の様々な変化の段階で

その後の精神の変容の差が出るように思います。

この行程の捉え方によって、

同じ空間にいても、

ただの観光旅行やトレッキングにしかならないこともあるのです。

これが、

「結果」

に目を向ける西洋的なモノの見方と

その「道のり」

を味わうことができる東洋的な感性に違いであり、

これこそがエネルギー感知の唯一の方法のようにも思えます。

 

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