美人薄命
頼近美津子さんが亡くなったのですね。
30年以上前の事になるが、当時採用を担当していた父が、試験の最中から自慢げに「キャサリン」の話をし、本当に珍しく仕事の後に家に連れてきた。
キャサリンとは頼近さんの事なんだけれども、新年会以外で父がお弟子さんを連れてきたことはなかったから、その思い入れは相当なものだったと思う。
「ご挨拶しなさい。」と言われ応接間に入っていくと、
今までに見た中で一番美しい女性がソファーに座っていた。
キャサリンと聞いていたから金髪でない事に少しがっかりしたが、透き通るような肌に品の良い顔立ち、よく通る声で「こんばんは。」と言われ、本当に口を空けて見つめてしまった事を覚えている。
ショウヘイ(父)は終始ご機嫌で「キャサリン。キャサリン。」と連発していた。
横暴なショウヘイのリクエストで私のエレクトーンで何曲か演奏してくれる良い人だった。
入局すると、予想に違わずメキメキと人気が出てあっという間にフジテレビに行ってしまった。
その美しさは他の追随を許さなかったから、当たり前と言えば当たり前のことかもしれない。
その後、BMWにいた頃、頼近さんが635iに乗っている話を聞いて、当時の彼の635iを乗りこなせなかった(いや運転させてもらえなかった。)私は、
「女性が635iを乗りこなすとは、さすが頼近さん!」と秘かに尊敬していた。
今、思い返してみても 私の人生の中で1,2を争う美しく品のある人だったなぁ。
ショウヘイも、沈みきっている。
20年近く前に内臓をほとんど取ってしまった父が元気に生きていて、当時、心配してくれた人たちが次々と亡くなっていくのを横で見ていると、
「自分もいつ死ぬかわからないなぁ。」と思う。
毎日を、大切に生きなければね。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。