キリスト・コミッション
キリスト・コミッションを読み終えた。
この作者の本は全部読んでいるが、今まで読んだ作風とは違い、歴史的事実を彼が自らの信仰を通して、実に立体的に捉えている。
今まで、キリストについて描かれた本は沢山あったし、勿論、それは聖書も入っているが、どこかで『虚』を描いている感が否めなかった。 しかし、この作品は キリストにまつわるすべての登場人物が立体的に浮かび上がり、生き生きと描かれている。 キリスト自身の証言はないものの、読み進んでいくうちに、彼の口から 実際に言葉が語られてるのを聞いているような気さえしてくる。 証言を得た年代を、なくなってから6年後と設定したのも なんとも心憎い。 そして、彼がこの作品を書く前にどれだけの資料を調べたかを考えるのならば、恐らく 私が読み漁ったキリスト関係の本の 何十倍、いや 何百倍であったかが 想像できる。 しかも、その背景には 彼の深い信仰心をも感じられる。
この本を読み終わった今、 このストーリーがフィクションであるか ノンフィクションであるかという事実を考える以上に、 私の中に、 キリストは確実に存在しているのだ と思えるようになった事実の方が大きなものになっている。
久々に良書にめぐり会った。