海のエッセンス 8 鞆の浦
早朝に、鞆の浦に渡り、
昨日から目を付けていた場所で写経をします。
「春の海」は、宮城道雄が、
8歳で失明する前に祖父母に育てられて住んでいた、
ここからの美しい風景が目に焼きついたのをイメージして描いたそうです。
窓を開け放って下さり、
早朝の深い静けさの中で写経をするなんて、
なんて贅沢でしょう。
この建物は、
3つの窓枠が暦を現すように設計されています。
波の音と潮風と香炉から漂うお香の香りの包まれて、
静かにお経と向き合うと、
自然に「無」の世界に導かれていきます。
仏法を広める為に始まった写経がこのような作用にまで広がっていくのは、
その言葉の持つエネルギーと
その場に流れる清浄さと
筆、墨、姿勢、時間、空間、
私たちの中に眠る神聖、
きっと他にもいろいろな
「何か」の奇跡的な融合なのでしょうね。
贅沢な贅沢な時間でした。