ヒマラヤ 宝珠を納める旅 19
ビルさんは、玄関マットほどの大きさのある、
分厚い瞑想の為の絨毯を持ってくれているので、
本当に大変そう。
瞑想に一番良いのは、
毛皮。
二番目がウールの絨毯だそうです。
口数も少なくなってきます。
「すぐとは、どのくらいのすぐなのだろうか?」
と、口には出せない心の声が聞こえてくるようです・・・
ようやく、山の上の方にはためく5色のルンタが見えてきます。
下じゃなくて、天辺の方です。
しかし、本当に山の上。
目標は見つかったものの、
まだ、登らねばならない事に、
少々、足が止まります。
更に、寡黙になるビルさんに、
申し訳なくなり、
「ねぇ、どうやってあの旗をかけたのかしらね?
飛ばしたのかなぁ。」
と、話しかけてみると、
「そうじゃないですか。」
(「どうやって飛ばすのかしらね?」と、
聞きたかったけれど、聞けない雰囲気。)
ちょっと行っては休む事を繰り返しながら、
登るのでした。
辿り着いた時の何だか良く分からない感覚は、
今でも、言葉にする事ができません。
しかし、
この景色を前にすると、
感動が沸々と沸き上がってきます。
『本当に洞窟あったんだ。』
『洞窟、来ちゃたんだ。』
「良いの?私、洞窟来て。』
『帰るもの大変そう。』
という、自我の声と共に、
ファンタジーの世界と現実の世界が
溶け合っていくような、
そんな至福の瞬間です。