フランスに残る神聖を巡る旅5 ラ・サント・ボーム
王の道と女王の道の二通りの登り方があって、
王の道は険しく、女王の道はなだらかです。
登っているときもおしゃべりは禁止です。
今では、洞窟に壁が取り付けられています。
向かって右側には、ドミニコ修道院。左側には休憩所があります。
とても広い洞窟内は外の日の光と対照的に、薄暗くしっとりとした空間です。
洞窟内は、子宮の中を思い出すような暗さとしっとりとした安心感に包まれています。
いくつか祭壇があり、静にろうそくの光が揺れています。
いくつか美しい祭壇がありますが、これはマグダラのマリアを天使が天に運んでいるところかな?
簡素な椅子に座っていると、水が滴る音が聞こえてきて、
自然がはぐくんだ洞窟なのだけれども、
そこに響く音は、聖堂に勝るとも劣らない美しさです。
洞窟を訪れる人たちは、この中に入った途端、
内側の世界を感じずにいられなくなるように、
息をひそめて、足音にすら気遣いながら、
無意識に、物質的な自分がこの空間を邪魔しないようにするのかもしれません。
街からここまでの道のりは、自分の内側に入るための過程として存在するようにも思えます。