こうして心の火を消せば・・・
生活の中に潤いが無くなってくると、
無性に本棚にある、
小さい頃に、入り浸っていた父の書棚に、
詩集のコーナーがあり、
こっそりと、自分の本棚に持ってきていて、
それを、今でも大切にしています。
少し色の変わってしまった本は、
独特の甘い香りがあり、
私が生まれるよりも前からこの世に存在し、
新しいもにはない、落ち着きがあります。
そして、何よりも、
少し昔の
翻訳の言葉の選び方が美しく、
ビーナス像のドレープを言葉で表現するような、
繊細さと瑞々しさがあります。
「こうして心の火を消せば
歌がひびき出すだろう
詩人のきよらかな手が掬えば、
みずは水晶の玉となる。」
ゲーテの詩の中の一節です。
まさにエネルギーの世界を表現するとこうなります。
私たちエネルギーを扱うものは、
詩人のような自由な表現以外に、
それを、この世界に表現する事はできないでしょう。
私にとって、芸術家は、
エネルギーの使い手に他なりません。