ヒマラヤ 宝珠を納める旅 32
感動の海の中を溺れそうになりながら、洞窟から出てくると、
「あなたは、勇気ある強い女性だ。」
と、褒められる。
確かに、ゴーゴー川が流れる中、
ツルツル滑りながら這いつくばって
洞窟の中に入ろうという女性はあまり居ないかもしれません。
寒さよりも、感動に打ち震えていると、
更に、
「次は、こっちだ。」
と、奥の方を指差します。
「昨日、ここで何を見た?」
と、聞かれます。
私たちが、昨日来た事を知っていたのです。
「えーっと、祭壇?」
と言うと、
「もっと、奥に何を見た?」
と聞かれるので、
「祭壇までしか入っていません。」
と、申し上げると、
すぐ脇にある わき水で手を洗うように指示され、
大きな洞窟の奥に導かれます。
すると、様々な形の岩があります。
一つ一つ説明してくれて、
最後に、
「ここが、パドマサンババが衣を置いた岩だから、
登っては行けないよ。」
と、仰る。
「パ、パドマサンババ?」
だれも、そんな事は言っていなかった。
というか、知らなかった。
パドマサンババなら、私でも知っているくらいの方。
「嘘でしょ?」
と、失礼ながら申し上げると、
「インドからチベットに行く際に、
ここで立ち寄り、この洞窟で修行した。」
との事。
何ということでしょう。
感涙に咽ぶ私です。