イシスの息吹

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囲炉裏

娘の課題に付き合って、近所の郷土博物館に行った。(勿論、ちびさん二人も一緒に) 大通りからナビに従って細い通路を入っていくと、しっとりと落ち着いた建物があった。 この近くには子どもたちが通っていた幼児教室があり、週に2回は来ていたのだが 気づきもしなかった。 

しっとりと落ち着いた萱葺きの門をくぐると、近代的な建物があり そのあたり一体で見つかった土器やそのあたりに住居を構えていた作家の直筆の原稿などが展示してある。 その建物を抜けたところに、萱葺きの古民家がある。

とても素敵なのは、その古民家から薪を燃やすような匂いと煙が上がっていることで、入ってみると囲炉裏に鍋がかかっている。 薪の燃えるパチパチという音が静かに響き、係りのおじいさんがお茶を入れてくれる。 薪の燃える香ばしい匂いの中で 丁寧に入れたお茶をいただきながら ウチのちび二人が「フーフー」しながらお茶を飲む姿を見て 「会いたくなっちゃったなー。 この間、送ってきた写真は元気がなかったからなー。」などと お孫さんの話とか、他愛ない話を伺った。 こんな話がスッと出来るのも、囲炉裏のなせる業かもしれない。 土間に出て、釜戸や石臼などを見て廻るうちに 私まで「これはどうやって使うんですか?」等と質問をすると、「それも知らないか。。。」と言いながら丁寧に説明してくださる。

石臼の上に一本の竹が梁から吊るされている。 娘が「これは何ですか?」と伺うと 「最近になってからは、ここに鍬を吊るしておいたんだよ、でもね、その前には鶏がとまる棒だったんだよ。」と教えてくださった。 「でも、見てごらん。 この竹の太さじゃ鶏は太すぎてつかまれないよね。 こういう家に住んだ経験のない人がこういうものを作ると こんなことになるんだね。」 と何ともいえない表情で洗い上げたお茶碗を丁寧に拭きながら話してくれた。

たった一本の棒だけれど、おじいさんの言葉は 何だか深いところに留まり、大切な「何か」を教えてくれたような気がする。 おじいさんの何をするにも とても丁寧な手が なんだか大切な宝物のように思い出される。

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