ヒマラヤ 宝珠を納める旅 35
そして、
洞窟の中に戻ります。
どのくらい時間が経ったのでしょうか?
外に出ると、
ビルさんが、お茶を飲みながら待っています。
チベットのパンとお茶をごちそうになって、
チベット僧とお別れをします。
「3年の行に入っているから、
またいらっしゃい。」
と誘って下さるので、
「すぐに来ます。」
と、お答えして、
洞窟を後にします。
日本の僧侶に頼まれた石は、
ここに納める事にします。
帰り道、
洞窟の僧に香草を運んだ少年が、
一緒に山を下りてきます。
恐らく20キロはありそうな香草を
村の自分のお家の祭壇の為に、
背負って山を下ります。
足下はサンダルなのに、
ヒョイヒョイととても身軽に降りて行きます。
私たちが追いつくまで待ってくれて、
また、ヒョイヒョイと降りて行きます。
小川に着いた時、
この少年が小川のほとりに横たわって
口から直接小川の水を飲んでいる姿は、
ギリシャ神話のように美しく、
それ以外にその水を飲む方法がないように思えました。
彼の立ち居振る舞い全てが寸分の隙もなく、
合理的で美しく、
どんなに飾り立てても、
どんなにエクササイズして身体を整えても、
彼の神なる自然との調和の前には色あせて見えてしまうでしょう。