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新聞で友人のお父様が亡くなった記事を見つけた。
中高時代からの友人である彼女とは、子どもの学校の行事を通して 今でも親しくしている。 ずいぶん前から御具合が悪かったと聞いていたが、残念なことだ。
今でも彼女のお家に遊びに行ったときのことは 鮮明に思い出すことが出来る。
多摩の山にお家があり、段々畑のようになっている。 ある階には、当時、初めて間近で見るグランドハープが置いてあり、グランドピアノもあるかと思うと その下の階には、「お猿さん」が飼われていた。勿論、これも はじめて間近に見た。 ずっと下っていくと、大きな焼き物の窯があり その頃には、そのお家をなんと表現していいかわからなかったけれども、今でたとえるのならば宮崎駿の世界のような感じだった。
住んでいる人間の数よりも、あちらの世界の存在の数のほうが確かに多く しかも色濃く感じた。
陶芸家であるお父様は信楽焼に取り組む指針に「明る寂び」という言葉を使ったと 新聞に書いてあった。 「明るく澄んだ気配を持った美」という意味らしい。 日本人の心性に深くしみこんだ美意識を自らが体現なさったと評されていた。
友人をはじめとして ご兄弟はすべて芸術家になった。 こんなエネルギーのお家に生まれ育ったとしたら それは、自然な形の選択かもしれない・・・
毎晩 嵐のDVDを見て「可愛さが罪だったとしたら、ニノは死刑だね!」と語る次女を見ていると、我が家には芸術家は育たない・・・ と確信した。