神人とユタ 10
いよいよ御神事が始まります。
8つの地域の代表の方々がそれぞれの地からお持ちになった、
ビンシーと言われる、「実印」と同じように
代々受け継がれる大切な容器に、お米とお神酒を入れた物と、
重箱にお米を9合入れた物を神さまの前にそれぞれ8つ並べます。
「今日は、きちんと9合計りましたか?」
と、先生が代表の方に尋ねられます。
「はい、今回はきちんと計ってきました。」
と、代表の方。
前回は、
「多い人や少ない人がいる。」
と、神さまからご注意があったとの事。
そう、神さまはいつでも見ていらっしゃるのですね。
そして、その他にも、
8つの入れ物に「神さまのご飯」と言われるお神酒。
大きなポリバケツの中に、「デンス(お神酒)」を入れて。
笹の葉のような葉で奇麗にその蓋に封印した物が、
用意されます。(とても重い物を男性二人が運んできました。)
(この「神さまのご飯」を器に入れる担当者も
誰でも良いわけでなく、決まっていて、
とても重要なお役目です。
デンスは戦前までは、
若い女性が生米を噛み砕いた物を発酵させて作っていたそうです。
朝、昼、夜と3回、デンスを器に入れ直し、
それを繰り返します。
そして、その御嶽が終わると、
次の御嶽、そして、また次の御嶽。
と、4カ所の御嶽を廻ります。
真夏の炎天下、
ただでさえ暑い中、
先生は、何枚も重ねた神衣装。
そして、80を過ぎたご高齢。
大変なお務めです。