ダーク・ルーム
ダーク・ルームに入ってきました。
「何?」 怪しそうな名前ですが、
真っ暗な部屋の中で、24時間過ごすのです。
おにぎり3つと、バナナ一本、ミネラルウォーター2本を支給されて、
漆黒の闇の中、気功や瞑想、エクササイズをして過ごします。
2時間おきにプログラムがあるので、眠っても2時間。
後は、闇の中でずっと過ごします。
「漆黒の闇」の世界は、数年前、ハワイのリトリートに行ったときに感じたエネルギーであり、
個人的には自分が存在する前に通ってきた世界のような何ともいえない郷愁があるのですが、24時間その中で過ごすとどうなのか、久しぶりにドキドキする体験でした。
実際に、始まってみると 闇の中は目を開けていても、閉じていても真っ暗。
時間もわからず、音と気配と触覚、香りが頼りです。
当初、配給された食物を見て、「こんなもので24時間も過ごせるのかしら?」と思っていたのですが、何だか、「欲」という「欲」がなくなっていくのです。
お腹もすかないし、喉も渇かないし、いつもだったらついつい携帯に手を伸ばしたり、何かをしていないと落ち着かなかったりするし、着ているものも気にならないし、
とにかく、暗闇に身を任せることが何と心地よいことなのか。
ただ、暗闇を見つめて過ごす時間は何ともいえない心地よさがあるのです。
内と外の区別があいまいになるというか。。。
シャーマニックな地下への瞑想も「もっともっと深いところへ。」と果てしなく果てしなく深いところへの憧憬が湧き上がってきました。
一回目は、「ユキさん、あんまりウロウロしないで、その辺のところで。」と言われて戻ってきたのですが、あれは、何処までいくのだろうか? という興味から、2回目はドンドン入っていって、とても面白い経験をしました。
そして、初めてお目にかかる人もいたのですが隣に行くだけで誰だかわかり、何ともいえない親近感が湧いてくるのです。
入ってくるのは、視覚以外の情報です。
明るくなって、改めてそれぞれの方を見てみると、暗闇の中ではしっかりと誰だか認識出来ていたのに、見た目の印象と暗闇の中の印象が暫く一致しませんでした。
いかに、自分が普段視覚の情報に頼って生きているのかを深く深く感じました。
暗闇の中で食べるおにぎりの味は、とても濃密だったし、
暗闇の中で飲む水は、口を潤す程度で満足だし、
暗闇の中で聞く音楽は、体中の細胞の中に広がっていくし、
暗闇の中で感じる人の手は、何ともいえない安心感を感じるし、
暗闇の中での眠りは、短くても充実したものだし、
暗闇の中での自分は、何かをはずした自分のように感じるし、
明るくする時間が近づいてきた時、そこに戻りたくない自分を感じました。
普段、いかに溢れる情報の海の中で生きているのか。
24時間外と遮断された状況の中過ごし、表に出てみると、
そこには当たり前の日常が広がり、また、溢れかえる情報が流れ込んできて、
また、それに順応してしまう自分も居て、
だけれども、暗闇の中で過ごした経験は確実に自分の中にある「何か」を呼び覚ましたように感じます。
こんどは、もっと長い時間を暗闇の中で過ごしてみたいなぁ。